再三再四
Chapter5
雪の降る日、大概、私は外には出ない。
新刊でも出ていなければ出る用事が無いし、何より寒いのが苦手だから。
本は布団に入りながらでも読むことができるし。
これだけ聞くと、インドア根暗をイメージされそうだけれど、私も用事があれば雪の中の外出だって厭わない。
スポーツだって誘われればするし、ゲームだって。
「吝か、でもないかな……」
最悪な事に、今日は雪が降っている。
それさえなければ、もしかしたら私は浮かれていたかもしれない。
それはもう、現役女子高生ばりに。現役女子高生だけれど。
着替えは選べるほどないから迷わずに済むが、現役のそれとは思えないほど地味なそれしかない。
それこそ、ショッピングなど行かないから仕方ないのだが。
それでも、パジャマで行くわけにもいくまい。
上は柄モノのワイシャツと適当なブラウスで、下は本当に家用のジャージしかないから、制服スカートで妥協した。私の学校の制服は、巷では「可愛い」とされているらしいので、母のクローゼットから下手なものを拝借して失敗するよりいくらかマシだろう。
仕上げに、防寒のマフラーを締めたら準備完了。これはいつも学校にして行っているもの。ギンガムチェックだから、ワイシャツと微妙に被る。
最後の最後に悩んだのは、コンタクトか眼鏡か。
それを選択するだけなのに、何だかあなたのために選んでいるみたいで、こそばゆかった。
***
まず初めに訪れたのは、あなたが行きたかったと言う近所の猫カフェ。
いつも笑顔のあなたが、いつも以上に笑顔で、私も自分のことのように嬉しかった。
間髪入れずに、あなたは私の手を引いて、衣料品店の立ち並ぶ商店街へ。
自分には無縁だと思っていた世界が、どんどん私を包んでいって、それはまるであなたと喜びを共有するかのようで。それはまるで、あなたからあなたの時間を奪うようで。
ああ。これが友達なのだなと、思った。
「次、どこ行こうか。あ……手引っ張ってごめん。大丈夫だった? 痛くない?」
「痛くないです。でも、少しだけ、寒いです」
「そっか……。それじゃどうする? 手でも、繋いじゃう? こうやってさ……」